はじめに
このたび、「譜例によるフィンガリング検討シリーズ」というカテゴリをこのブログの中に作りました。
ここでは、実際の譜例、主にオーケストラのバイオリンパートの一部分を抜粋し、その譜例を元に、フィンガリングの例と、練習時に意識すべきポイントを整理して記載していきます。
どのようなアマチュアオーケストラであっても、コンサートマスターやパートトップから、ボーイングが指示され、全員で同じボーイングによる演奏をすることになります。
ある程度のレベル以上のアマオケであれば、弓のどの位置で弾くか、跳ねるのか跳ねないのか、弓の方向け具合など、そういったことにも注意が向けられることかと思います。
ボーイングを合わせるということは、メンバーの演奏のニュアンスを揃えること、また客席から見た時のビジュアルの両面から、重要なことです。
さて、このように、右手については指示を受けることが出来ます。
しかし一方で、左手、つまりバイオリンを弾く上でのフィンガリングについては言及されないことがほとんどです。
結果として、無駄の多いフィンガリングを多用してしまう方もいらっしゃいます。
例えば、必要以上にファーストポジションに留まり続けるフィンガリングや、ハイポジションにいきなり飛びつくフィンガリングなどです。
このようなフィンガリングは、その場しのぎのフィンガリングであることが多く、バイオリンの基礎技術を身に着けていくに当たってはよくありません。
また、初級者の場合、一旦身体で覚えたフィンガリングを異なるフィンガリングに変更することはなかなか難しいのです。
反復練習で身体に覚え込ませることを否定しているわけではありません。しかし、だからこそしっかりとフィンガリングを検討してから練習にあたることが必要なのです。
楽譜の中で与えられているフレーズにもよりますが、しっかりとフィンガリングを検討した上で、繰り返しゆっくりと丁寧に練習することは、音階教本や練習曲などの基礎練と同様にバイオリンの演奏技術の底上げにつながります。
つまり、ある曲で身につけた内容が、より効果的に他の曲の演奏に活かせるというわけです。
このシリーズでは、フィンガリングを決めるのが難しい譜例、音程の取りにくい箇所の譜例を取り上げながら、フィンガリングの例を紹介していきます。
もちろんフィンガリングは個人の好みや得意不得意(ポジション移動より移弦が得意、など)もあるかとは思いますが、
「音階教本や練習曲などの基礎練と同様にバイオリンの演奏技術の底上げにつながる」
ということを意識して書いていきますので是非練習の参考にしてください。
このシリーズの記事を積み重ね、最終的には左手のためのオーケストラスタディのようなものが出来ればと考えています。