■松脂の種類と傾向
現在、バイオリン用の松脂は非常に多くの種類があります。
ですが、それぞれ狙っている特性は異なるものの、大きく2つの傾向に分けられます。これをまず把握しましょう。
この2つの分類は、松脂の見た目でおおかた判断できます。
(1)見た目が、綺麗な琥珀のように透き通っているもの
(2)見た目が、茶色、もしくは黒でほとんど透けていないもの
まずは、(1)についてです。これは、代表的な例として、「ベルナルデル」が挙げられます。
透き通った琥珀色の松脂は、粒子が細かく、さらっとしているという特徴があります。
弾き心地もこの特徴に近く、ノイズの少ない、澄んだ音色が生まれます。
一方で、(2)についてです。この代表例としては、「ギヨーム」が挙げられます。
黒っぽい、もしくは茶色の松脂は、粒子が荒く、またベタッとした質感が特徴です。
実際に松脂に指で触れても、気温などによりますがこのようなベタッとした感覚を体感することができるはずです。
このベタッとしたという特徴から、弓の毛がしっかりと弦をつかめるというのが、演奏上の特徴です。
発音ははっきりします。しかし、弓のコントロールに慣れていないと、ギシギシ、もしくはガリッというノイズが演奏音に入ってしまうことがあります。
■どちらの松脂が初心者向きなのか
結論を述べると、初心者向きは(2)の松脂です。そして、中でもおすすめは前述の「ギヨーム」です。
確かに弓のコントロールの練習が不十分だとノイズが入ってしまうため、これらの松脂は初心者には不向き、と思われるかもしれません。
しかし、初心者のうちは特に、弓の毛がしっかりと弦をつかんで音を出すという弾き方をしっかりと覚える必要があります。
初心者にありがちな弓の使い方として、汚い音を恐れるあまり、弦の上を弓で撫でるだけになってしまうことがあります。
正しいボーイングには、発音の瞬間に適切な力を加えること、発音の後には適切な圧力を残し弓を動かすということが重要です。
そのため、そのボーイングを標準的な方法として身に付けるには、弓と弦の噛み合わせをしっかりと感じ取れる松脂が、初心者の練習に最適なのです。
なお、ギヨームには高級感のある木箱入りのものと、通常のパッケージのものがあります。
木箱は高級感がありますが、外れやすさが気になる場合もあるので、こだわりがなければ通常パッケージのもので良いと思います。