差音で学ぶバイオリンの重音シリーズ(0)このシリーズについて

■このシリーズについて

このたび、「差音で学ぶバイオリンの重音シリーズ」というカテゴリを作成しました。

これは、バイオリンで重音を演奏できるようになるための練習方法に他なりません。
そのため、練習方法に関するカテゴリに入れてしまうべきか、迷ったところではあります。

しかしこのシリーズについては(おそらく数回で完結すると思いますが)、通して記事を読んでいただきたく、記事の並びをわかりやすくするために専用カテゴリを作ることとしました。

■バイオリンの重音奏法が難しい理由

バイオリンの演奏技術には、基礎技術から技巧的なものまで様々なものがありますが、中でも重音奏法は基礎技術の一つでありながらも非常に難しいものとされています。

なぜなら、左手の形を正しく保たなければいけないことや、2本の弦を適切なバランスで鳴らすために右手から弓に伝える力を精密にコントロールしなければならないからです。

それに加えて、初学者においては「正しい音程を聞き取り、指の間隔を調節する必要がある」ということも、その難しさの要因になります。
このシリーズでは、この音程の聞き取り方という観点で、論を進めます。

単音による旋律の場合は、基本的には連続する音同士の音程のつながりに注意して演奏します。
もちろん、他の楽器とのアンサンブルや、バイオリンの本体の響きを感じながらという考え方もありますが、まずは、メロディラインを一本の線として捉えれば、その線に沿って音程を作っていく、ということになります。

一方、重音奏法の場合は違います。
一つの重音がずっと続く伴奏だったり、3度や6度で動く技巧的なメロディだったり、その形は様々です。
しかし、何れにしてもこれまでの「連続する音同士の音程のつながり」だけではなく、「同じタイミングで鳴っている音同士の音程」に注意を払う必要が出てきます。
これが、重音奏法の際に正しい音程を聞き取ることの難しさです。

■正しい音程をの重音を弾くためのガイドライン、「差音」

自分が弾いている重音の音程が合っているのか?
その一つのガイドラインとして私が提唱するのが、「差音」に着目した練習方法です。

慣れるまでは、理論の理解が難しかったり、重音と差音の関係、対応を把握するのに時間がかかるかもしれません。
しかし、一度差音を聞き取ることに成功し、バイオリンで重音を練習する際に耳を傾けることを習慣づければ、無意識のうちに3度や6度など、協和的音程の重音をバシバシと当てていくことができるようになるのです。

このシリーズでは、2つの音と差音がどのように関わっているのか(差音の定義)ということから出発し、3度、6度といった代表的な重音を例に挙げ、具体的な音源を提示しながら重音の練習方法を紹介します。
最終的には有名な協奏曲である、ブラームスやシベリウスの協奏曲を譜例に重音と差音の関係を確認します。
譜例から聞き取るべき差音をパッと把握して、重音の音程の判断に活用するレベルに到達することが、このシリーズの目標です。