【Q】2つの弦を同じ指で同時に押さえられません、どのようにすればよいでしょうか?

■「5度」はバイオリンの弱点

バイオリンには、2本の弦、もしくはそれ以上の弦を同時に発音する、「重音」という奏法があります。
2つの音による重音に関して言うと、基本であり頻出する3度、6度の重音の他に、4度、5度、オクターブと言ったパターンがあります。

この中で、「5度」の重音だけはある意味特殊だと捉える事ができます。
なぜならば、他の重音(3度、6度など)と異なり、一つの指で同時に2つの弦を押さえる必要があるからです。
低いポジションであれば、2つの弦の感覚もそれほど広くなく、また指板に対する弦の位置も高すぎないので、苦労なく押さえることができます。
しかし、ハイポジション(目安としてサードポジションを超える、第四ポジション付近以降)においては、弦の感覚も広がり、しっかりと2つの弦を押さえるのが難しくなってきます。
指が、弦と弦の間に入り込んでしまい、弦を指板まで押し下げるのが難しくなってしまいます。
これは、指の大きさ、太さといった個人差も大きく影響するのです。

重音に限らず、なめらかに演奏されるスラーのパッセージに置いても、左手のテクニックとして5度はかなり難しいものです。
例えば、ベートーベンのフィデリオ序曲においては、連続した5度を用いるパッセージが出てきます。

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■指の太さと楽器のセッティングの関係

指の太さは個人差があります。そのため、演奏者と大きく相性の外れたセッティングは、事前に解決するべきです。
具体的には、弦の押さえやすさは以下の4つで決まります。
(1)駒の高さ
(2)駒上の、4つの弦の溝の幅
(3)上駒(ナット)の高さ
(4)上駒(ナット)上の、4つの弦の溝の幅
広い意味では、ネックの太さなども左手の演奏のしやすさに大きく影響を与えます。
ただし、ここでは弦の押さえやすさという観点に特化し、上の4つをあげています。

(1)と(3)の、駒や上駒の高さについては、低めに設定することで弦を押さえやすくすることができます。
ただし、特に駒の高さの変更は音色の変化に影響が大きいので、専門家と相談の上慎重にセッティングを変更するべきです。
また、(2)と(4)の、駒や上駒における弦の幅については、5度の重音の押さえやすさに影響します。
弦同士の間隔が狭ければ、当然5度の重音を押さえやすくなるわけです。
ただし、弦の間隔が狭くすることには、デメリットも伴います。重音などで複数の弦を(複数の指で)押さえる際に、指先が別の弦に触れてしまうリスクが高くなる、ということです。
単音だけで演奏するのであれば、問題になりませんが、重音の演奏の時、特に指の配置によっては、他の弦に指が触れてしまい、音が鳴らなくなってしまいます。

このように、5度が押さえにくいという悩みに対しては、適切な箇所に指を下ろすという練習の他に、楽器の調整が正しくされているかという確認が必要なのです。
そして、楽器の調整は、弦同士の間隔を狭くすることで5度が押さえやすくなるというメリットと、重音の際に他の弦に触れてしまうというリスクのバランスを考えながら行うべきです。