【Q】オケのトップ奏者になりましたが、アインザッツはどのように出すのですか?

■アインザッツと、その目的は何か

読者の中には、アインザッツという言葉を初めて聞くという方もいらっしゃることかと思います。
この言葉は、単に「ザッツ」と呼ばれることもあります。

このアインザッツについて簡単に説明するには、
「音の出だしを揃えるために、音をだす前に拍感を示す動作をすること」
という表現がわかりやすいでしょう。
アインザッツを声に出すならば、「いっせーのーせ!」ポン(音が出る)といったところで、この「いっせーのーせ!」が1、2、3、4のリズムにあたるはずです。
この1、2、3、4は、音を出す前の1小節前の拍にあたります。(4拍子)
音を出す前にテンポ感・拍感を共有することで、音の出だしがずれないようにしようというのが、アインザッツの考え方であり、その目的です。

広い意味では、メロディを弾きながら、あるいは長い音符を伸ばしながらのアインザッツを行う場合もあります。
これは、ゆったりした曲において停滞しがちなテンポを整えたり、長い音符の後に出てくるフレーズのリズムをはっきりと合わせるために行われるものです。
この記事では、前者の方、すなわち曲の冒頭などで音の出だしを揃える目的で行われるアインザッツについて、記述します。

■アインザッツは、コンパクトに。そして、全員で。

室内楽、つまりカルテットなど小編成のアンサンブルにおいて、ファーストバイオリンが指揮者のように大きく弓を動かしアインザッツを出しているケースが、たまに見受けられます。
これは、ファーストバイオリンが大きく弓や身体を動かして、それに他のメンバーが合わせるという考え方によるものなのでしょう。

アマオケの合奏でも同じような状況があり、各トップの奏者がアインザッツを出し、トップ以外の奏者がそれを見てタイミングを推し量り、音を出すという形になります。

さて、一度アンサンブルの形、ファーストバイオリン、セカンドバイオリン、ビオラ、チェロによるカルテットに話を戻して考えましょう。

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例えばこの、有名なアイネ・クライネ・ナハトムジークのように全員が一緒に演奏を始めるようなケースの場合、本来は全員がお互いにアインザッツを出し合い、入りのタイミングを合わせるべきなのです。
アインザッツの動きを揃えることで、当然に次の音のタイミング、ニュアンスが揃うという考え方です。

メンバーでアンザッツを出し合うとなると、大き過ぎる動きはかえって揃えにくくなります。
曲の出だしがフォルテッシモであればある程度勢いのあるアインザッツになりますが、弓を振り回す程の動きをする必要はないのです。

アインザッツは全員で出しあい、コンパクトに。 これが基本的な考え方です。

オーケストラで演奏する場合も、考え方は同じです。
トップ奏者は後ろのメンバーを見ることができないのでカルテットのケースとは事情がことなりますが、後ろのメンバーが自分より前の人(1列前、2列前ぐらいはかなりはっきりと見えるはずです)の動きをなぞることで、全体でアインザッツを共有することができるのです。

伝言ゲームのように遅れが発生してしまうのでは、と思われるかもしれません。
しかし、トップ以外の奏者も自分がアインザッツを共有するのだという意識を持っていれば、ほとんど遅延の問題は発生しないのです。
少なくとも、トップだけが大きく弓を動かし、それにを合図に他のメンバーが音を出すというやり方よりは、ずっとタイミングの揃った演奏ができるのです。

■具体的なアインザッツの出し方

ここまでで、「アインザッツ=予備拍の共有」であること、また、アインザッツがトップ奏者だけの動作ではなく、奏者全員で行うものと書きました。
具体的には、予備拍2つ分程度をアインザッツに当てるとして、特に予備拍1拍分の動作を皆で揃えるのが良いでしょう。
バイオリン、ビオラの場合はネックの軽い上げ下げと自然な弓の動きで、チェロやコントラバスの場合は右手と弓の動きで拍感を出すように意識します。
それ以外に身体全体の動きも伴いますが、それはネックや弓の動きに追従して自然に出てくるものです。