E線のアジャスターが固くて回しにくい時の対処法

■アジャスターはなぜ必要なのか(予備知識)

まず、アジャスターのネジの回しやすさについて考える前に、アジャスターの役割や、使用する弦について整理しておきましょう。

アジャスターというパーツの名前は、バイオリンを弾く方であれば誰でもすぐにわかると思います。
バイオリンの弦は、先端(構えた時に演奏者から遠い方)に付いているペグから楽器下部についているテールピースに張ります。
この時、バイオリンの弦の素材によってペグでの調弦、チューニングの微調整が難しいケースがあるのです。
そんなときに、この微調整をスムーズに行うことを目的として、アジャスター(Adjust:調整する)をテールピースに取り付けます。

■弦の素材によって、アジャスターの要否が違う

弦の素材によってはチューニングの微調整が難しい、と先に書きました。
では、どのような素材の弦を使用するときに、このアジャスターが必要になるのでしょうか?
それは、スチールで出来た、伸び縮みのしにくい弦を使用するときです。

現代では、弦の素材は大きく次の3つに分かれています。
(1)ガット ※天然素材
(2)ナイロン
(3)スチール
各社、様々な特色を打ち出した弦を発売していますが、分類としてはこの3つと理解しておけば大丈夫です。

そして、伸び縮みのしやすさという観点で比較すると、
ガット・・・ナイロン・・・スチール
という順番で伸び縮みしにくくなります。(ガットのほうが伸び縮みがしやすい)

スチールの弦は、伸び縮みによる変化が少ないのです。
これは、弦を張った直後の伸びだけでなく、チューニングの時にも同じことが言えます。
伸び縮みが少ないということは、音程が狂いにくいというメリットだと言えます。
しかし、伸び縮みが少ないということで、チューニング時のペグの動きがダイレクトに開放弦の音程の変化に反映され、チューニング自体が難しくなる、という弱点もあります。

そしてこの弱点の解決が、スチール弦を使うときにアジャスターを使用する理由です。

一般に、G線、D線、A線には中庸的な性質を持つナイロン弦を張るため、これらのチューニングの問題は発生しません。
しかし、E線については弦の構造上強度の高いスチール弦が用いることが多いため、E線のみにアジャスターを使用する方が多い、ということです。

■アジャスターのネジが回しにくい場合の対処法

さて、予備知識の部分をお話しましたが、ようやくここからが本題です。

アジャスターは、ペグなどと違い、ネジを切られた金属同士が触れ合っています。
錆びたりするようなことはそうそうありませんが、長い間メンテナンスをしていないと、ネジの摩擦が強くなり回すときに大きな抵抗を感じることもあります。結果、固くて回せない、と感じるわけです。

アジャスターが固い場合には、機械整備で使われるようなKURE5-56などの潤滑油をネジにつけることで、ほぼ解決します。

KURE 5-56 (320ml) 多用途・多機能防錆・潤滑剤

当然、潤滑スプレーが楽器に直接かかってしまっては大問題なので、ネジのオス側を外して離れたところでKURE5-56を吹き付け、軽く拭った上でアジャスターのメスネジに戻すのが良いでしょう。

■回しやすいバイオリン用アジャスターの選び方

アジャスターには、ネジの頭が小さいタイプ(主にL字型)、ネジの頭が大きいタイプ(Goetz、ヒル型など)があります。
ネジを回すのは回転方向の動きですが、テコの原理の応用で、大きなネジ頭のものの方が、回しやすいのです。
アジャスターを購入する際は、ループエンド、ボールエンドのどちらの弦かを確認した上で、次のどちらかを買うのがおすすめです。
どちらも、ネジの大きな回しいやすいタイプのアジャスターです。

ループエンドの弦に合うタイプ:
Wittner バイオリン用アジャスター(ヒル型ループエンド専用)

ボールエンドの弦に合うタイプ:
Wittner バイオリン用アジャスター ウニ型